D1 Q&A ABOUT D1
著 吉岡稔紀
ここからがD1グランプリの最大の見所。
単独走行で最高の走行を披露した選手が、一対一で戦うこと
によって勝敗を決めるのが追走トーナメント。
単走だけでは誰が一番上手いか決めかねるほど上位選手の
走りは均衡しており、一対一で走行しどちらが上手いか見極
めるために生まれたのが追走トーナメントです。
対戦する2台が先行と後追いを決めて同時にスタートします。
先行は自分の単走と同じベストの走りをし、後追いは先行の
車両に合わせてドリフトをします。
基本的に後追いが先行との距離を詰めて相手のインに入れれば勝ちとなりますが、先行よりも角度が浅く距離を詰めた場合は先行に軍配が上がる場合もあります。また、引き離されたら負けになります。
スピンやアンダーステアはもちろん、
ドリフトの角度が相手よりも浅かったり、
ドリフトの飛距離が相手よりも短かったり、
挙動が乱れると減点なので、先行の選手はスピードが犠牲に
なることを承知のうえで角度を大きくつけることもあります。
したがって、必ずしも速いクルマ、パワーのあるクルマが
勝てるとは限りません。
なお、走行ラインは単走ほどシビアに判定に影響するわけで
はありませんが、後追いの車両にスペースを与えないように、
先行の車両がインベタと呼ばれるコーナーのイン側のライン
を取り続けることは減点の対象となります。
走行は、先行/後追いを入れ替えて計2本行われます。
走行ごとに各審査員が「5:5」、「7:3」など、持ち点の10点を両選手に割り振る形で判定を下し、それを2本分合計して勝敗が下されます。
ただし、2本の走行で同点だった場合、あるいは差がわずか
だった場合は、サドンデスと呼ばれる延長戦に突入します。
繰り返し延長戦を行っても決着がつかない場合は、
審査員の判断で、それまでの走行内容を総合して判定が下
されます。
サドンデスの上限は3回までです。
このような方法で勝ち抜き戦を行い、優勝者を決定します。
この追走トーナメントの見所は、選手の技量!!
相手の選手の合わせるために様々な技術が必要となります。
単走では自分の思うように走行できますが、追走となると自分の思うようなライン、スピード、角度だけでは勝負に勝つ事が出来ません。
自分の持てるすべての技術を引き出し相手のドリフトよりも上回るドリフトをした者が勝利します。
また選手間の駆け引きも見所の一つ。
追走は他のモータースポーツに無い車の格闘技なのです。